怪物さんは深澤辰哉の話でした
おはようございます!こんにちは!こんばんは!
いつもお疲れ様です!
すのーまんさんのオタクやらせてもらってます。
限界目黒担のアオと申します!
この前、”すのーまんさんと音楽の親和性を虚妄で楽しむ暇つぶし”を投稿したんですけど、ここ何日かのうちに、めちゃくちゃいい曲に出逢いました!
この曲すっごく好きです。わたし。
あいみょんをイメージして、平井堅さんが書いた曲で、平井堅さんはこの曲を「僕なりの女性賛歌です」と言っています。なんか深く読み取ったら、自分が精神的に考え込んでしまいそうだから、軽く解釈してみました(笑)
これは、確実に深澤辰哉。虚妄だとしても酷い人間に作り上げてしまったことまず謝っておく。すまん。でもはっきりと分かることとして、直接会話もしたことのない人間に対してこんな虚妄をさせてしまう深澤辰哉は正真正銘アイドルです!
がっちり虚妄です。
この人とは今日で終わり。もう何回思ったことだろうか。
朝方早くに目が覚めたわたしは、起こさないようにそーっとシーツを上にあげた。
『んん゛……もう、行くの……?』
「行くよ…わたし仕事だもん」
『そっか~……気をつけてね~』
後ろからお腹に回された腕はあっけなくほどかれた。
大学生のとき、友人と行った他大学の学祭で話しかけてきた人は、まぁまぁかっこよかった。
『お姉さんたち、この大学のひとですか~?』チラシを渡しながら話しかけてきた。
明らかに年下に見える私達にも、敬語を使ってくる時点で好感度は少し上がった。
「△△大学です!」友人は明らかに普段の声よりも可愛い声で返した。
『そうなんだ!……同じ?』わたし?首を傾げるその人姿はかっこいいより、かわいいが似合う。自分より年下だと感づいたようで、敬語ではなくなっていた。
「はい」かなり適当だったのに、『そっか~!』明るく笑って返してくれたその人を見たとき、この人はかなり大人だなと思った。実際いくつ自分と離れてるかなんて知らないのに。
二人が話しているとき、わたしは受け取ったばかりのチラシを見た。下のほうには、QRコードとLINEのID。この人のLINE?こんな誰にでも渡すようなチラシに個人情報とは……なんだ、すごいチャラい人じゃん。【××大学4年、学祭実行委員長、深澤辰哉】四年生…!まじ?驚いてると友人に声をかけられた。もうあの人はいなくなってた。
「どうした?」「いや、これやばくない?」「あ、なんかそれは、実行委員用のアカウントだって言ってた!」「そうなの?!」
そんなことまで話したのか、やっぱり友人の対人スキルは男が相手であっても変わらない実力を発揮したようで、友人はスマホを見せて「これ本物のLINE!」わたしは笑って「行動、早すぎ笑」と返した。
大学はテストが終わり、学科の友人何人かで飲み会をしてた。
「わたしお手洗い行ってくるね!」化粧ポーチとハンカチを持って立ち上がった。
二人くらい並んでる様子が遠くからでも分かった。スマホを見ながら、順番を待つ。
『えっ、あれ△△大学の……』自分に話しかけられてる?違うよね……でも一応見てみる?
「うわっ、実行委員長」とっさに出た言葉がそれしかなかった。
『実行委員長って…笑』「すいません」『いや、覚えててくれて嬉しい~笑』お酒のせいか、あの時よりふわふわしてた。
「先どうぞ」『並んでたんでしょ?笑』なにも言わずに手で誘導する。『じゃあ、お先に…』後から入れば、この後にあの人がいることを考えなくて済む。そう思って先に通した。すぐ、もう一つのほうが空いたのでそちらに入る。店内に流れる歌を口ずさむ。この歌は最近ハマったバンドの曲。今日は、久しぶりにお酒を飲めて楽しかったな~。用を足して、ドアを開ける。まだ店内を流れる音楽はいいところ。ここの歌詞が好き。暖簾を、避けた。
「え、なんでいるんですか……?」触ってたスマホの電源を切って、『だめだった?笑』この人はなんなの?『この歌俺も好き』怖い、他大四年怖い。そんな話したことないような女にも、そういう顔をするのか、大人のやり方怖い、わたしは騙されないからな。絶対に。
『そんな怖い顔しないでよ~』急いで顔を隠した。『なにそれ笑』「怖いって言われたから」よくみんなから言われる。○○はかわいいのに不愛想だからモテないの!そんなの知ったこっちゃない。男の人に興味がない。それなのに、彼は『本当に怖いなんて思ってるわけないじゃん…笑』そう言って笑った。
「……じゃあ、もう行くんで…」『俺のLINEあのQRのじゃないから』「え?」『連絡先教えてよ?』「嫌です」真顔で言ったわたしの顔を見て、『だよな~嫌だよな~』って言ってまた笑った。
急いで席まで帰った。なんかあったのかとみんなは聞いてくれた。なにもなかったと返した。
今の状況、きっと誰もが理解できない。隣にあの人が座ってる。
『ねぇ、こんな奇跡ってある?笑』頬杖ををつきながら、隣の人に言われた。
「〇〇!来週誕生日じゃん!」「そうだねぇ」「なんでそんな人ごとなの笑 ごはんでも行かない?」「え?誰かとごはんって言ってなかったけ?」「そこに○○も来てほしいの!」「え~合コンの埋め合わせかよ~」「いいじゃん!楽しいかもしれないし!ね!行っちゃおう!」
友人は違う男の人の隣に座った。ありがたいことに人数が多かったから、わたしは一番端に座ることにした。それで隣に座ってきたのが、この人。
今日は特別な日なのに。こんな夜を過ごすことになるとは。
『あ、○○ちゃんのスマホ鳴ってるよ』何で名前知ってるの?絶対勝手に教えたんだな~隣を見るとにこにこ笑った顔があった。電話はすぐに切れたが、かけてきた相手は分かっていたから、すぐにかけ直すことにした。
外に出ると風が強く吹いてて寒かった。もうそろそろ今年が終わる。
「あ、もしもし、ごめんね1回で出れなくて」「うん、ありがとう、今?友達と飲んでた」「仕送りはもう大丈夫だから、うん、もうわたし二十歳だよ?笑」お店のドアが開いて、人が出てきたから避けた。「年末帰る日程決まったら連絡するね、じゃあね~」かけてきたのは母親だった。息を吐く。もう戻らなきゃいけない。普通に気が重い。
ふと横を見る。
「待って、全部聞いてたんですか?」実行委員長がタバコを吸いながらこっちに首を傾げて『だって、これ見てよ』指をさしたそこには、全席禁煙!と大きく書かれたチラシ。そっか、小さくうなずいて戻ろうとしたとき、『今、良い感じだからいかないほうがいいかもっ!』と言われて、でかかった手を戻した。季節はもうクリスマスも過ぎたっていうのに、みんながっつきすぎだって。帰るにも、荷物は席だし。
「じゃあ、どうすればいいんですか?」少し投げやりになってしまった。
タバコを持ってないほうの手でベンチの横を叩いて、『ここ、おいで?』
入口でずっと立ってるわけにもいかない。素直に言うことをきいて、彼の左側に座った。何をしゃべるわけでもなく、ただそこに座った。
『誕生日、おめでとう!』いきなり言われた言葉にびっくりして、顔をまじまじと見てしまった。『まさか違った?笑』「合ってるけど……」『おお~びびった~』『はたちか~若けぇな~……笑』灰皿に自分の吸い終わったタバコを置いた。「ゆうて、2歳しか変わんないじゃないですか」『それが結構違うのよ…おこちゃまには分かんねぇか笑』そう言って、わたしの頭に軽く手を置いた。
『俺が、誕生日祝ってあげる』
そう言って彼は、わたしの唇にキスをした。
初めては、全部辰哉くんだった。
こんなに人を好きになることもあるんだと思った。
今の関係性のまま何も変わることなく、辰哉くんは大学を卒業して、社会人になった。自分もあとを追うように、就職活動が始まって卒論の提出が終わって、気がついたらあっという間に社会人になっていた。
辰哉くんの寝室に、使い終わったであろう避妊具が捨てられてる。小さな可愛らしいピアスがベットの横に置いてある。知ってるの、わたし。絶対そうだって。わたしもダメな人間だから。知らないふりをできるの。
「辰哉くん明日飲み会~?」『うん、そうだね』わたしの不安そうな顔を見て、
『最近あんまり一緒にいてやれなくて、ごめんな?』
彼はいつもそうやってとりあえず安心させて、それを待ってるわたしもダメなわたし。
『来週の土曜日さ、大学の友達と飲み会なんだけど、○○来る?』「わたし、行ってもいいの?」『うん!みんな友達とか連れてくる、って言ってたからさ~』
最初から席がおかしい。なんでこんなに辰哉くんと離れてるの?まぁいいか。気にしないふりをした。
周りにはいろんな同世代の人がいて、それはそれで楽しかった。辰哉さんの隣には綺麗な女の人。今日はその人なの?だめ、気にしたら負け……いや、もうこんなこと思ってる時点で負けは確定してて、わたしは終わり。終わりなんだよ。もう、飲むしかなかった。酷く酔って、隣の男の人が触ってきた。あ~もう気持ち悪いな、やめてよ。触っていいのは、辰哉くんだけなの。いっそこんなわたし、わたしごと消えていなくなれ。じゃなきゃ、ずっと嫌なわたし。
目が覚めたとき見えたのは、辰哉くんの寝室の天井。
『○○?……大丈夫?』「…………うん」いつものように容易く心配してくれた。
薄くてすぐ破れてしまうようなぺらっぺらな優しさってわかってるよ。
「んん」『どうした?』わたしが抱きしめた辰哉くんは、ぺらぺらで細くて何にも染まっていないように見せかけた真っ白な肌。これで、終わりなの。決めてるよ、決めたんだよ。
『苦しいって……笑』
それから1年経った昨日。
『その歌好きだよね~笑』あの時の歌を、鼻歌で適当に歌ったわたしに、あなたはそう言った。
「いい歌でしょ?笑」わたしが思う”かわいい”じゃ、あなたきっと飽きちゃうんでしょ?
『俺も好き』軽くそう言って、キスをしてきた。それだけで、わたし安心しちゃうの、嘘だって分かっててもね。
熱い夜は、すっかり空いた時間を、そんなよくわからない何かを取り戻すようだった。
どっか向いてても、そばにいてくれることを知ってる。あなたは、あなたのままで、今までみたいに優しくして。
だから、一度だけでいいから、わたしがそこらの女と何が違うか教えてよ。それが嫌なら、そこらの女と同じ様に扱ってくれたほうがよっぽど楽なのに。
自分の部屋に帰ったって、こうやってまた声が聞きたくなって、今日だって、会いたくなるの。あなたが好きなわたし、もういっそ消えてなくなればいいって、じゃなきゃ、嫌なわたしになるから。
不在着信一件。
新着メッセージ一件。
〈会いたい〉
わたしだって、会いたい。あなたがいないわたしなんて、本当は考えられないよ。
死んじゃう。セフレ深澤辰哉。彼女も分かってて離れようとするときに、『行かないで』って言うのよ。深澤辰哉。深く傷つけるって分かったときは、自分で本意じゃなくても『大丈夫?』って聞いちゃうの。だけど、彼女はそれで余計に傷ついてまた、好きになるじゃん。なに一つとして、良いことがない。彼女はこの人以外男の人を知らないわけで、そうなると、深澤辰哉しかもう考えられないんですね。だから、普通の恋愛が分からない。嫌われてもいないのに、好かれてもいない、この関係性を終わらせなきゃいけないのに、結局深澤さんから、離れるって思った時に深澤さんは寂しい顔するでしょ!セフレ永遠ループじゃん!耐えられん!